門松
元旦の朝、下の子が布団に入ってきて言った。
かどまつ、ないの?
かどまつ、ないと、やだ。
は?と思い改めて聞くと、
門松がウチにはない。門松がないと新年を迎えられない。という事だった。
ウチはごく普通の戸建てなので、正月飾りくらいは玄関に飾るが、
大層な門松は用意しない。どこで門松情報を仕入れたか。
下の子は我が家に門松が無い事にたいそう不満を漏らし、
布団の中でめちゃくちゃ愚図り、門松インザハウス!
門松が無いと正月ではない。門松あり、ゆえに我あり。
門松が無いとこの世は終わる、みたいな事を言った。門松でカツアゲである。
今日は買い物に出かける日なので、
わかった、お外で門松みたら一緒に写真を撮ろう、と言ったら機嫌が戻った。
午後に有楽町に行ったら高層ビルのエントランスに
2m以上のメチャでかい門松があり、子と門松で写真を撮った。
少し緊張しつつもダブルピースの子と、後ろにそびえ立つ門松。
意味がよくわからないが満足したようだった。
子も、正月を迎えられたようだ。
よくわからないが下の子にはそういうところがある。
冷蔵庫を買い替えたときにも前の冷蔵庫とお別れするのが嫌過ぎて泣いた。
これまた、下取りされゆく前の冷蔵庫がトラックに載る直前に、
ドライバーの方に無理を言って荷台に子を載せてもらい、
前の冷蔵庫と子で記念写真を撮ったら、泣き止んだ。
有楽町から帰宅後、暇なので植木屋で門松を頼んだ場合の値段を調べてみた。
160cmの門松は、75,000円だった。
子よ、来年もご所望なら高層ビルのやつで頼む。