白い本を読む

本屋に行ったら真っ白い本が平積みで置いてあって、白っ!と思った。

さらにタイトルが直球むしろ豪速球だったので買った。

エーリッヒ・フロムという心理学者の「愛するということ」という本だ。

 

歳も歳になって、一丁前に愛とはなんぞや?みたいな事を日々ぼんやり考え、

結果わからんのでビールを飲み、あげく眠くなって寝てしまっていた俺にとっては、

きわめて有効な書物であった。

 

 

愛することは与えること。

愛するには技術がいる。

自分の全能力を相手のために使うこと。

その喜びこそがこの世で至上のもの。

 

 

腑に落ちた。このうえなく腑に落ちて、めちゃくちゃうまい

チャーハン大盛りを食い終わった後のような満足した気持ちになった。

自分に愛する力があるのかは分からないが、

俺には、すべての人には、生きる意味があると強く思った。

長い長い気が遠くなるような時間の、ほんの一瞬でしかない自分というものにも、

価値があると少し思えた。

 

 

最近、妙に、脳にこびりつく歌詞がある。

星野源の「化物」という曲の、

 

地獄の底から次の僕が這い上がるぜ

 

という歌詞だ。じ〜ご〜く〜の そ〜こ〜か〜らの部分が特に響く。

曲全体のメッセージとは関係ない。なんでか。そんで、この白い本を読んで思った。

 

どんな形にせよ、かつて地獄をみた事がある人なら。

それでもなお、今日も生きている人なら。

何か思うところがあるかもしれない。

地獄にいる時はつらい。つらいと言えないぐらい、つらい。

地獄だから、地獄のなかに助けてくれる人は回りにいない。地獄は孤独。

 

この時助けられるのは、愛だと思った。

地獄でない場所にいる、愛することができる人だけだと思った。

愛することができる状態の人が俺の地獄には二人いて、見返り無く愛され、

俺は這い上がることができた。感謝しかない。

 

地獄から這い上がった者がやることは1つしかない。

愛することだ。

 

ありがとう120年前の心理学者のおっさん。

いつか雲の上で会えたら、一杯やろうぜ。