ミッション
もうすぐクリスマスが近い。今年はやり遂げなければならない
ミッションが我が家にはあった。
それは、
「上の子(小3)がサンタクロースをもはや信じていない事を
しっかり確認したうえで、
下の子(5歳)にあげるプレゼント(自転車)を親が
事前に購入することを黙っていてもらう」
である。
ミッションをクリアするための前提条件を以下に記す
・上の子は最近の言動から、もしかしたらサンタはいないのかも、、、と思っている。
・どうしてサンタはいないのかも、、、という考えになったのか背景はわからない。
・親から上の子に「サンタはいない」と教えてはいけない。大人から子供の夢を壊さない。
・上の子はゲームソフト「太鼓の達人」がプレゼントに欲しい。
・下の子は当然サンタクロースを信じている。
・下の子はサンタさんから「自転車」が欲しい。
・自転車は親が事前購入するしかないが、デカ過ぎて家の中に当日夜まで隠し通す場所がない。
・事前購入した「自転車」は家の外にカバーをかけて保管するしかない。上の子はこの方法をとった場合確実に自転車があるとわかる。下の子にはわからない。
我々親としては、上の子のサンタクロース幻想を会話から見極めたうえ、
上の子への買収工作および下の子への偽装工作を仕掛ける必要がある。
妻君から指令が入る。
妻君:只今よりMISSION-X001開始せよ。上の子が180秒後に風呂に入る。
追尾し風呂にて任務遂行せよ。
俺:MISSION-X001、了解。
(湯船にて)
俺:あ〜今年のプレゼント何が欲しいんだっけ?
上の子:太鼓の達人。スイッチの。
俺:そっかー。そういえばさ、今年はサンタ来ると思う?
上の子:いや〜サンタさ、来るとは思うんだけど、去年とかサンタからの手紙の字が
お母さんにそっくりだったし、ちょっと怪しいと思ってるんだよね。
俺:(お、疑っている)あ〜、友達とかはサンタのこと何て言ってるの?
上の子:う〜ん、わかんないよねとか本当にいるのかな、とか言ってる子もいる。
俺:どうなんだろうね。
上の子:夜中まで起きてようかな。。。そしたらお母さんがプレゼント置きに
来るかもしれないし。。。
俺:(きた...!ここでキメる…)太鼓の達人、サンタから貰うのと親から貰うの、
正直どっちがいい?もうどっちでもいいの?
上の子:そりゃサンタに貰うほうに決まってるでしょ!ねえお父さん、
今年もサンタ来るかなあ?
俺:あ〜来るよきっと!(...まだサンタ「居て欲しい」んかーい!)
俺:(...こりゃだめだ。作戦変更だ)
俺:あ、下の子のプレゼントは何だっけ?
上の子:自転車らしいよ。
俺:自転車か〜。あ!、そうだ。サンタの白い袋にさ、自転車って入ると思う?
上の子:自転車は大きいよね〜。
俺:サンタも自転車を袋に入れちゃうと他の子のプレゼントが入らないよなあ。
上の子:サンタもそれは困るよね
俺:そうだ。お父さんが先にサンタさんから預かってさ、外において置いて、
クリスマスイブの夜中にサンタに渡そうかな。そしたらサンタも他のプレゼントが
運べるじゃない。
上の子:いいね〜。それなら皆プレゼントもらえるね。
俺:じゃあ、家の端っこに貰ったらカバーかけて隠しておくから。
下の子には黙っておいてくれるか?
上の子:うん!
俺:あとサンタに太鼓の達人欲しいって言っときなよ。
上の子:うん!サンタに手紙も書く!!
俺:(ちゃおとか読んでるクセに、小3ってまだこんなもんか〜い)
俺:こちら父。MISSION-X001任務完了。
ターゲットの想定以上のサンタ幻想が残存していた為、プロセスを
一部変更したが、結果的に下の子の買収工作に成功。下の子の為に事前に自転車を
購入する事が可能となった。
妻君:ラジャー。
俺:なお上の子の太鼓の達人は、次週極秘購入の必要あり。
追加MISSION-X002が発生。以上。
妻君:MISSION-X002了解。パンツを穿き帰還せよ。
一生懸命のなかに、少しの嘘と小さな駆け引きを積み重ね、
我々親は子を大人にしてゆく。
俺もプレゼント欲しい。