ランチの店を探す

日曜日、家族で谷中あたりを散歩した。わりと近いんで。

 

小さな子らと一緒に出かけて一番気を使うのが食事だ。

 

店に迷惑をかけてはいけない。

うるさくしても大丈夫だろうか。

味が辛かったり、調理が熱かったりしないか。

子供用の皿やスプーンを出してくれるだろうか。

喫煙者が多かったらちょっと心配だ。

子供が座れるイスあるのか。エトはセトラなのか。セトラはエトでいいのか。。。

 

とまあ色々あるのでいつも選ぶのに迷うが、

今日は谷中なんであんまり子供シフトの店はないと、俺も妻君も薄々わかっている。

ワンショット・ワンキル。砂漠に生きる者の鉄則。

ここだと思ったら100点でなくても、入らないと経験上その後また後悔する。

 

13時くらいになってそろそろ飯かというときに

カフェ&サロン と書いてある店があった。カレーやワンプレートの定食が

あるらしい。店内は空いていて、小奇麗だ。ここか?

周辺には他に店がない。この先もっとない可能性も高い。

外張りのメニューや外観を良く見る。出来るだけ情報を得る。

弾は一発しかない。ワンショット・ワンキルの場面だ。

俺と妻君はカフェ&サロンの下に書いてある情報にも目を凝らす。

 

 「ハワイアンロミロミ」

 

 獲物へ向けた銃口に、いきなりパンダが出てきたような感覚になる。

 

何だハワイアンなロミロミって。ロコモコの親戚か。

シベリアンハスキー的な、ジャンガリアンハムスター的な、ハワイの動物の肉か。

ハワイアンレミレミならなんとなく奇抜な南国料理で美味いのかも、

という感じもするが。

全然わからない。行くのか、行けるのか。

 

 

 俺たちは行った。

 

 

打ちっ放しの壁。食事にはもったいないソファとテーブル。

飾られた数枚の風景画。いい感じの環境音楽。品のいいご婦人の「いらっしゃいませ」

そして、奥に、カーテンで仕切られた広い別室とベッド。ベッド?

ここでハワイアンにロミロミするのか。ロミロミがメインの店じゃねえか。

ていうかロミロミ食い物じゃなかった。マッサージ?

別のテーブルでは、ロミロミ客がロミロミするための相談を店員としている。

 

子が「ねえお母さんモナリザの絵もあるの~」とかデカい声で言う。ねえよ。

靴のままソファに寝転ぶ。やめなさい。

 

俺と妻君は思う。「外した。。。」

 

俺が頼んだカレー(子も食えそう)は品切れ。

妻君が頼んだなんたらプレート飯(子も食えそう)も品切れ。

にこやかに言われて、返す言葉もない。そうだここは飯は二の次なんだよ。

結局、「一汁一菜ランチ」とかいう豚汁と雑穀米と小鉢で1,000円のやつを

頼んだ。

おしゃれなソファで食べる大人向け超ヘルシーメニュー。

当然、子の食はあまり進まない。。。そしてまたロミロミの客。

 

 

しばらくして妻君が無の表情で雑穀米に豚汁をぶっかけ「ねこまんま」にすると

子は食欲を取り戻しました。