遅刻だ。やばいやばい遅刻だ。

俺はものすごく焦っていた。

寝ぼけながら起きたら時計は朝の7時。東京の朝は7時。

ゴルフは群馬県で8時にスタートだ。

 

チュンチュン。チチチ。

 

チュンチュンじゃねえよ。終わった。。。

 

ゴルフは絶対に遅刻してはいけないスポーツだ。絶対に。

特にコンペは。決められたスタート時間前までに必ず着いてないと、

一緒にラウンドするメンバーに迷惑がかかる。以降の組も待たせてしまうことになる。

組ごとに競う事とかもあるから、居ないだけでバランスが崩れ全体にも迷惑がかかる。

ゴルフ場にも。ああ今日は取引先の人もたくさんいるんだ。仕事にも迷惑が。

やばいやばい。

決して安くないプレー代と交通費と、長い時間をかけて、

みんなこの地にやってきて、一日を楽しむのだ。

俺のせいでそれを台無しにしては、いけない。。。

 

今まで、何重にも目覚ましをかけて、毎度毎度起きてきたじゃないか。

群馬県の山奥に8時だろうが、栃木県に7時だろうが、

余裕をもって30分前に着くように、海釣りばりの時間に起きて、

車をすっとばして来たじゃないか。

 

なんで今日に限って。。。ああ台風でも来ねえかな。

最悪だ。。。

 

 

 

という夢をみており、うなされて汗びっしょりで目が覚めた。

そうだ俺はもう、営業ゴルフなんてしなくていいんだ。

行きたくもない場所に2時間も運転して行かなくていいんだ。

1回で1万円も2万円もするアホみたいなスポーツ2度とやるかよ。

昼間にビール飲むスポーツって何だよ。

なんで止まったボールのくせに真っすぐ飛ばないんだよ。

イナゴでも大量発生しやがれクソが!

 

 

 

時計を見たら、土曜日の朝5時だった。もう、ゴルフなんかない。

俺はゆっくりと小便をして、冷たい麦茶を飲み、もう一度布団に戻った。

 

まどろむ意識のなか、遠くで鳥のなく声が聞こえる。

チュンチュン。チチチ。

ああ、なんて素敵な朝だろう。