夜に

東京。夜の10時。

俺はイモリのように畳に腹と手のひらをつけて、

じっとしている。

どこかの草むらでしずかに鳴く虫たちの声と

エアコンが発する低くつめたい稼動音を同時に聞きながら、

ただ、じっとしている。

そうするしかないような、夜もある。

僕は死ぬように生きていたくはない、

と00年代に言った中村一義の眼に

2020年のことはどう映るだろうか。

そんなことを、イモリになりながら、思った。