心理

渋谷公会堂で、寝てしまった。

正確にいうと今はLINEなんたら渋谷だけど、そこで寝てしまった。

ライブを観ているときに寝るなんて初めてだ。

音の洪水の中で安心して寝てしまうくらい、いいライブだった。

折坂悠太。

 

聴いている最中、センター街で見かけた

かむくらのラーメンの事を考えていた。

毎日毎日、富岳かよ俺はってくらい脳と心と手を使いまくっていると

色々擦り減っていって、帰りには何も考えられなくなっている。

しかし俺は折坂悠太の音楽という空間のなかで、

かむくらの「おいしいラーメン750円」のことを、

甘い白菜と柔らかい豚肉がいっぱい入ったかむくらのラーメンをすすった瞬間の

自分のことを、

その自分が、いま生きているときっと感じるだろうと、

目一杯想像することができた。これは幸せだ。

そして、寝た。

 

循環していると思います。

少しばかりのMCで、折坂悠太は言っていた。

ステージは循環していると思う、と。

私があなた方に音楽を届けていると同時に、

あなた方が生み出した何かを、また私も受け取っていると思う、と。

だから、またどこかで会いましょうと。

それだけ言った。感謝も媚びもへつらいも無かった。余計なことは言わなかった。

あとはずっと、ずっと歌っていた。

 

帰りに、ひとりセンター街に寄った。

何を食べたかは、言うまでもない。

 

 

来づらいとこで悪いんだけど

本当に来るなら本当に待ってるよ

あれを歌おうか やりましょね

やまびこのように のびやかに今日は(折坂悠太・「心」)

骨盤矯正

先日、妻君が最近忙しくて立ちっぱなしで腰が痛えと言っていたのを

聞いていた。腰が痛くなる感じになってんだと気にしていた。

 

先日、地元の商業ビルの中を歩いていると、やたらと外壁にサイン色紙が

たくさん貼られている店があった。「骨盤矯正・マッサージ」と看板には

書いてあった。腕のいい店なのかも。

 

俺はなんかピンと来て、誰が来たのかサイン色紙を良く眺めてみた。

半分くらいは女性モデルやアイドルで、うーんこりゃやっぱ宣伝か?

と思っていたが、ある色紙に目がとまった。

 

トレンディエンジェル たかし

 

なぜ葛飾の骨盤矯正・マッサージ店にトレエンのたかしが。

テレビ番組の名前とかは書いてないから、個人的に来た感じがする。。。

俺は知っている。たかしはあんなビジュアルだが、バク転が出来ることを!

バク転できる身体能力をもつ男が通う骨盤矯正・マッサージ店ならば、、、

信頼できる!!誰が来たと思っているんだ、斉藤さん、、、じゃなくて、

たかしさんだぞ!!

 

俺は即妻君に教えた。すげえ芸能人とか沢山来ている骨盤矯正・マッサージ店

があったぞ。トレエンのたかしが来てたぞ!と。

妻君は言った。え、斉藤さんじゃないの?

俺。いやいや、たかしの方だから。

妻君。え〜たかしかぁ。。。たかしじゃなぁ。。。

俺。いやでも、たかしバク転できるから。バク転できる男が来た店だから。

妻君。たかし、そうなんだ。じゃあ、いいかも!

 

意外にも妻君は俺の理論に賛同してくれた。

というわけで来月の我が家の生活費のうち3,500円くらいは妻君の

骨盤矯正・マッサージのために使う予定だ。

腰痛改善は間違いないし、あわよくばバク転もできるようになるかもしれない。

悪くないだろう。

張り合い

毎日は、折り合いと張り合いのシーソーゲームだと常々思っている。

いきなりわけのわからん事を書いているが、本当なので。

 

生きるうえでひとつ大事なのが折り合いで、これはまあ要するに

とるに足らない自分を納得させるために必要なこと。

悠久の歴史の、とある一時を、たまたま生きている自分。

そう考えると日々起きるいろんな事も、まあこんな事もあるかというところに

考えを落とし込んでいける。折り合い。環境と、時間と、自分と、現在と、折り合っていく。

落とした皿は、割れる。そこに善悪は存在しない。

落ちたら悲しいかな皿は割れるが、でもそこで悲しむ必要はない。破片を誰かが

踏まないように、きれいに片付けよう。

 

 

そんでもう一個が、張り合い。

これもないと生きられない。

人はなぜ生きるかの答えの1つが張り合いだと俺は思っている。

小松菜もサボテンもカラスもダンゴムシも生きる上での張り合いがあるのか

聞いた事があるが、皆「そういうのわからねえっす」と言っていた。

小松菜は生きる上で張り合いを感じたことはない。小松菜は伸びて、

最後はおひたしにされたりウサギに食われたりするが、そこに達成感などないだろう。

でも人間はある。張り合いがあるから生きている。

毎日のある時間に、もしくは週に一度、もしくは年に何回か、

何らかの生きていると感じられる瞬間を絶対にみんな持っている。

誰かに自分が認められていることを。存在していることを。

(それがみじんも感じられなくなったとき、生きていることを自分でやめる人もいる)

 

話はそれるけどSNSを考えた人はえげつない才だなと思う。ラジオ体操のスタンプ

をなぜ押してもらって、子供のころ、なぜ嬉しかったか。人々の心に、張り合いに、

スタンプを押させるなんて。

 

で、折り合いと張り合いがとても大事と思っているわけで、

どっちが欠けても社会ではうまくやっていけない。

その天秤の中心にあるのは、俺がいろいろ思うなかでやっぱり結論になるのは

愛で、全てのひとに一定量与えられなけばならない。ワクチンくらい必要。

 

こないだ、「素晴らしき世界」という刑務所から出てうまく生きれない男の

人生のさまをみて、いたくそんな事を思ったのでした。

オンリー

しか勝たん を英訳すると何になるか、グーグル翻訳で調べてみた。

Only won.

と出てきた。もうちょい捻ってくるのかなと思ったけど、どストレートだった。

月がきれいですね(©漱石)ぐらいのが欲しかったが、まあそんなもんか。

 

〜しか勝たん、という言い方は、とても好きだ。

もう若くないし、そもそも推しの文化もわからないし、自分では全然使わないけれど、

かなりいい言葉だと思う。

心の内の、対象への好き過ぎる気持ちが、そのまま言葉になった感じがする。

そういう発生のされ方の言葉は、たぶん強い。

いま辞書に載っている慣用句みたいな言葉の多くは、きっと昔の人の得た

知見なり感動なり反省なりから出来てそのまま残ったものだし(その一部は

現在では実感がないものとして残ってしまっているけれど、それはもっと未来には

全く使われなくなるだろう)

成り立ちがシンプルなのもいい。語呂も悪くないし、スッと脳に入る。

想像というか願望だけど、ただの流行り言葉でなく、本来の意味を超えて、ちゃんと日本語になってほしい。

年月を乗り越えて、いつか広辞苑に載る。そんな風に思う。

 

俺の〜しか勝たんは何かな?と考えて、あ〜、こないだ千葉物産展で買った

味噌ピーナッツだなと思う。ウイスキーに合って、超うまいんだよ。

私の〜しか勝たんは、味噌ピーナッツです。

 

さっそく用法が違う。

訂正しよう。味噌ピーナッツしか勝たん。

 

我が家でも、職場でも、誰も使っているのを聞かないが、

みんな普通にしか勝たんを使ってくれと密かに思っている。いい言葉だから。

桜を愛でにいく

桜が咲いてきた。

こんなご時世なので、夜に一人で見にいった。

帰りがけにいけるところで、人が少なめってことで、

谷中霊園の桜、いいじゃないのと思った。

上野駅で降りて、上野公園を北に抜けて谷中霊園通って、

夕焼けだんだん登って日暮里まで。霊園の、お墓の夜桜、なんかいいじゃない。

 

上野駅で缶ビールとチューハイ、魚肉ソーセージを買った。

さすがに上野公園は宴会は繰り広げられていないものの、

それなりに人がいた。みんなアホみたいに夜桜を撮っていた。

俺は性根がきっとよくないので、桜を撮っている自分に満足してんだろ?

とか思ってさっさと通り過ぎた。

撮りはしないが上野のギラギラした桜も、やっぱり素敵だ。

ちょっと気分をおかしくさせる。

 

北に歩いていくと芸大の建物がいくつもあって、この辺も桜がきれいだ。

芸術性あふれる夜の桜並木を、右手に缶チューハイ、左手に魚肉ソーセージで

景色に頷きながら歩くおじさん。

あーすんません、やっぱ俺の方が写真撮る人らよりあかんわと思う。

交番の横とかも通る。職質は、受けずに済んだ。

 

谷中霊園の南側の入り口の桜はとてもきれいだった。

これ、いいじゃないの。いよっ、春だねえと思う。

缶ビールを飲み、どんどん進む。

 

進むと街灯は少なくなっていき、さすがに墓地で、道も細くなっていく。

いつの間にか桜の木も柳の枝に変わっていく。

めっちゃ暗い。

誇張抜きに、ドラクエのダンジョンみたいに変な曲がり方の一方通行の道

だらけになり、行き止まりになったりする。

道の左右は墓石だらけ。というか墓石だけ。

誰もいない。風が冷たい。

俺はついに怖くなって、言った。

 

こええぇーーーーー!

 

俺の手持ちは歯形がついた魚肉ソーセージだけだ。

こんなんで戦えるか。こええマジこええ。お化けはソーセージ食うだろうか。

早く暗い道おわれ。

 

そう思いながら進んでいった先に、

なぜか狭めの広場があって、そこも暗がりだが1個ブランコがあって、

ブランコに、

おっさんが、座っていた。

そしておっさんが俺を見た瞬間、おっさんは立った。

 

こええええええええー!

 

なんでこんなとこにブランコあんだ。で、おっさんが座ってんだ。

俺はやっと悟った。なんで桜の名所なのに、人がいないのか。

谷中霊園は昼だ。夜に来るとこじゃねええええええ。

方向もわからないが、一目散に逃げた。

魚肉ソーセージをどこかで落とした。

 

たぶん、この夜、俺はおしっこをちょっとチビッたと思う。

俺みたいなやつは上野公園のミーハーな桜でもおとなしくみてるべきなんだ。

 

いくつになっても人は学べる。夜の墓場は、めちゃくちゃ怖い。

チャンス

こないだ久々に寿司チャン(家族は普通の夕飯を食べるが、俺だけ諸事情で

外食や弁当などで済ます日に大好きな持ち帰り寿司などを買って食えるチャンス)

があって、寿司チャンには9割がた京樽的な持ち帰り寿司にするが、

この日は、あ、久々にシウマイ弁当じゃね?となって池袋の西武で崎陽軒に行った。

 

崎陽軒コーナーはめちゃくちゃ並んでいた。

おまえらシウマイ弁当なんていつでも食えるのに、並んでまで来んなよ、と

並んでいる俺は勝手なことを思った。

新幹線はだいたいシウマイ弁当で、外回り仕事の頃は、それにコロナの前の帰省とかも

よく食った。しかし環境が激変して俺のシウマイ弁当もなんだかんだで1年ぶりとか

だ。

王道のシウマイ弁当以外は売り切れになっていた。

俺の前の客は一人で4箱買っていて、夜に4箱。。。

家族でシウマイ弁当食うんかな、、、家で、、、とてもいい。。。

兄と妹でタケノコとかまぼこの交換とかすんのかな、と思った。

 

あと、シウマイ弁当は860円くらいするが、なんか微妙に高いといつも思う。

うまいし買うから別にいいんだけど、680円くらいの食い物って感じなんだよな。

別にいいんだけど。

 

家に着くと家族はもう食事が終わっていて、

ニュースを見ながらビールとシウマイ弁当。テンションが高まる。最高のひとときだ。

夏!クラブ!ナンパ!思い出!

部屋と!Yシャツと!私!

ニュース!ビール!シウマイ弁当

 

打線も組んでしまう

1(ニ)昆布佃煮

2(三)かまぼこ

3(中)シウマイ

4(遊)タケノコ煮

5(捕)ごはん

6(一)唐揚げ

7(右)焼き魚

8(左)卵焼き

9(投)ガリ

監督 醤油

補欠 梅干し

補欠 あんず

 

正直、シウマイ弁当で一番うまいのはタケノコ煮である。

というかシウマイ弁当はシウマイがうまいのではなく、おかずのバランスが

すごいと思っている。そしてそのバランスは、シウマイやごはんといった

スター達をタケノコ煮がうまく引き出しているところにある。

あんまうまくないパサパサの焼き魚もその後にタケノコ煮を食うことで

焼き魚も結構うまかった印象になる。

タケノコ煮がシウマイ弁当の功労者だ。

 

あと、醤油の存在もすごい。シウマイは勿論。唐揚げ、焼き魚、卵焼きといった

下位打線にもハッパをかけて変哲のない味をまあまあうまいに変えてくれる。

マキタスポーツさんはシウマイに醤油をブッ差して注入するという。

おいしさのケツバットだ。

 

そんな名手タケノコと名将醤油だが、梅干しとあんずには

手を焼いているらしい。

あいつらとは全く噛み合わん。実力ないし、終わってるよ。

おシウマイだ。だって。

休息

今年に入って例のアレでどこも出かけてないし、

先週も先々週も仕事やら親戚の不幸や子の習い事やらで

妻君も俺もゆっくり出来ていなかった。めちゃめちゃ疲れていた。

アリナミンVを飲んでも治らない。もはや。

 

そうだ、近場のホテルでも土日に泊まって、気分変えて、ゆっくりすっか、となった。

本とかゲームとか好きな食い物とか酒とか持っていって、ダラダラする。

これや。

わりとすぐ行ける浅草に、良さそうなホテルがあったので平日のうちに予約した。

こんな時期なので、かなり眺めのいい部屋が定価の4割引。

しかも小学生までは無料だった。

金曜日の夜、子はテンションが上がりすぎて近所のホテルに一泊なのに、

リュックにパンパンにおもちゃを詰めていた。俺も週末に読む本を決めていた。

 

当日。嵐だった。天気予報では午後には止むとされていたが、

15時になってもアホみたいに雨が降っていた。

ちょっと前まで乾燥で山火事やべえとか言ってたじゃねえか。。。

 

こりゃ最寄り駅にすら行けねえ。。。。

 

呆然とした俺と妻君に、子らは、ねえ何時に着くの。

何時に行くの。ねえ。とプレッシャーをかけてくる。つれえ。

 

一瞬、雨が弱まった瞬間があって、今だ!と家族で駅へと飛び出した。

その瞬間、嵐は再度牙をむき、子と俺の傘をマンガでよくある逆向き状態にした。

もうこのまま浅草まで飛ばしてくれと思った。

 

浅草についても雨は止まなかった。殆ど人のいない土砂降りの浅草を

うおおおおと言いながら歩いてホテルに向かった。

たかだか20分ちょいで着くところになんでこんな無理していくのか。

運が悪い回のフジロックか。

 

やっとの思いで部屋に着いた。

さすがにスカイツリー浅草寺が見える、とても良い部屋だった。

俺たちの今日は、これから始まる。と全員が思った。

今夜という夜を、俺たちは過ごし倒す!!!と。

読書、お菓子、ジュース、ゲーム、映画、マンガ、酒。そしてすばらしい夜景。

 

妻君は、風呂はいるわと言って速攻でマンガを脇に抱え、バスルームへ消えた。

子らは持ち込んだ大好きなかんぴょう巻きを無心で食い、あつ森にふけった。

俺は焼き鳥とビールをお供に有料チャンネルに入っていたナイツ独演会を見て、ゲラゲラ笑った。

 

 

家族全員、夜10時前に、寝た。